このお話は、妖と呼ばれる人以外の種族のお話です。見た目は、まるっきり人と一緒で、別に角があるわけでもないし、牙あるわけでもないし、普通に赤くもないし、青くもないし、黄色くもない。本当、普通の人なのです。
ただ、女の人も男の人も、でかいのです。力や術は使えないのですが、気は使えます。気というか波動は使えます。波動は肉体に宿るものです。その波動は強く、寿命は、当然あってないようなものです。
一番知ってる鬼の方は、1500以上は生きています。そのお子様が、今、200ちょっとなのです。肉体的特徴といえば、まあ、マッチョで、力はバカみたいにあります。
片手で、1トンぐらいは平気で持つことができます。それから、歯の数が人間より4本少ないのですが、1つ1つの歯が大きいのです。爪は普通の人間の爪と変わりありませんでした。
これは、その方と、あやかしの里でお酒とか飲んで昔話を聞いた、その方の実体験の話です。では始めましょうか。
これは何年前の話かといいますと、明確な数字はだいたいわかってるんだけど、とりあえず1000年以上っていうことにしとこうかな。
実際の歴史上の人物の話で、人間側の歴史にもちゃんと残ってる。でも、全然、話が違うっていう、いろんなところに、人間も妖もそうなんだけど、村々があったんで、その村々に鬼族っていう村があった。およそ500人か600人ぐらいの集落というか、村があって意外と大きいのかどうか、村の単位がいまいちピンとこないんだけどさ、そこで、管理してるトップ3じゃないけど、仲の良い若者鬼たちじゃないけどさ 信頼のある鬼がいたんだけど、現代で生きてる鬼の方、男の方が、懇意というか知ってる方で、酒の席で聞いたお話なのね。
女の鬼の方と男の鬼の方が2人いて、その男の方の一人が、うちの知ってる方。その時代が時代だからさ自給自足だよね。畑耕したり、お米あったのかな。多分あったと思う。
いろいろやって、釣りしたり、狩りしたりしてたっていう、楽しくも平凡でバカみたいなことやって、将来、この嫁は俺のもんだと、親友同士で奪い合っとったらしいよ。小学生かってみたいなことばっかりやっとたらしいよ。やっぱ昔だからさ。遊ぶような道具がないからさ。
気を引くためにアホなことばっかりやってカブトムシかクワガタか知らんよ。こんなサイズ勝負してでかい方を持ってった方が俺の呼び名、とか勝手に決めて持ってたらしい。そうしたらぶん殴られたって、そんなくだらんことをやっとったりさ。
あと、釣りをしてたくさん釣れた方が勝ちだとか言ってやったはいいが、いきなりルールが変わって大きい方を釣っ た方が俺の嫁になる言って、そしたら、あまりにアホらしくなったらしくて、後ろから蹴り入れられて、川に落とされたとかね。
そんなくだらんことをやっとった。でも、いろいろ過ぎてって、いろんなくだらん勝負をしてね。俺の知ってる方の鬼の方が恋愛勝負に負けた。決め手は何か知らないよ。それ喋ってくれないからさ。譲ったのかもしれんけどね。意外と。お前の方がふさわしいとか。ちょっとわからんけどさ。
よくも悪くも、平凡な村生活というか、そこの長というか、みんなのことを見ながら、そんな特別なことじゃないよね。
でもさ、時代が時代でそんないい時代ではない。今でもそんなこと言えないんだけど、夜盗だったりさ、それが、鬼の夜盗じゃなくって、人間が来る。人間が襲いに来るわざわざ。
金品とか食べ物とか子供をさらって売り飛ばすとか。普通だったよ、昔は、殺して子供をさらって売るなんて。身体能力が違いすぎるから、格闘技が強いとかそういう理由じゃなくて、もう物理的な強さが違いすぎる。相手になんない。
でそういう小競り合いとかはちょこちょこあって。日本全国的な、いろんな人間同士の争い、何々家とか、そういう争いにもいろいろ云われがあったらしい。兵士として(鬼族を)雇うとか、そういう話もあったみたいなんやって。でも争いがあまり好きじゃないから平穏に暮らしたいと。
でもある時、その村に大群というか3倍ぐらいの武士とか兵士が村を囲って、いきなりは 襲ってこなかったんだけど、そこを指揮したトップの方が話し合いに来て、何の話し合いをしとるかはちょっとわからなかった。
やっぱトップ同士で話しとるから、俺の知っとる鬼の方は、蚊帳の外じゃないけどね、親友と親友の嫁さん2人がその相手側と話した。嫁は強引についてたらしい。嫁だからっていう理由でね。
ついてったらしいんや。1時間ぐらい一刻ぐらい過ぎた後に嫁さんだけが戻ってきてあんまりいい顔してない。さらに、倍ぐらいの時間がして、戻ってきた。もう手を後ろで縛られた状態で、上半身裸で、いきなり出されてきて、その鬼のみんなは、集会所とか真ん中の広い村のとこに集められて、その周りには、1000から2000くらいの兵士がいて、囲ってる。
その一番前の方にお偉いさんと村の長さ、鬼の方がいて、そこで話が始まって、この村の平穏のために長が死ねと。何もしてないのに、お前らの残った鬼たちの命を保証する代わりに、お前らのリーダートップは死んでって。死ぬ代わりにお前らの命を保証するっていう。
そこで、長は俺の首一つで済むんだったら、みんな平和に、これからも暮らせるんだったら構わない。おそらくその了承を得る時に、嫁がおったら反対するから多分追い出したんだろうね。
それを話した瞬間に嫁の方は、狂乱しだして、暴れ出して、それでもみんなで抑えて、長の気持ちを台無しにしちゃダメだって。みんな、涙ぐみながら、公開処刑って、膝まづかされて、刀で首パーンとされて、首が落ちて、確実に死んだことを確認した後に、鬼の集まってた集会の大外から悲鳴が聞こえ出した。
何事かって、鬼の方が見に行ったら、虐殺が始まってたって 鬼の方は素手。普通の恰好。相手は、刀や槍やら弓やら持った。「何でっ」て怒鳴り散らした。「みんなの平穏のために死んだはずなのに、なんでこうなった。」って言ったら、「そんな約束した覚えはない。」って。その後に続いた言葉が「お前らは危険だから行かしとく理由がない。」って。ただ、単に力が強いだけ。
その当時、いろんなとこで戦争が起きとるやん。小競り合いが。兵士として、相手側に寝返られたら、うちらが負けちゃうじゃん。おそらく「自分とこの兵士に入れ。」って言ったんだと思うよ。でも、戦うの嫌だから、断っとるはずなんやて。性格とかさそういう話を聞いとると。そしたら「仲間にならないぐらいなら死ね。」ってこと。
大虐殺が始まった。首の切り落とされる前に言った言葉が・・・、名前があるんだけどピーしてね。「よう〇〇、あと頼んだぞ。」いろんな意味で、その嫁さんのことも、村のことも、これからの鬼のことも任せたぞって。
だから、必死だよね みんなを逃がすために殿っていって、最後まで残って残ってみんなを逃がそうと、戦って戦って戦い続けて、それでも 嫁さんの方が放心状態で、言っちゃ悪いけど、足でまといで。
それでも必死に戦って。でも、数が数でキリがない。それで、山の中に逃げたりして、隠れたりして。
でも、その中で、自分ではないんだけど、その嫁さんの方の腕に矢が刺さって、慌てて抜いてみた瞬間にもう色が変わり始めて、「これは毒だ。」って言って、ハラハラハラハラしてる間に、どんどんおかしくなっていく腕が。
その嫁さんが「切り落としてください。私は生きなきゃいけません。」なぜか? お腹に子供がいた。その旦那の、亡くなった首を落とされた旦那。「本当にいいんだな。」って言って、そのぶち殺した武士の刀で、一発で切り落としたって。腕を。
で、担ぎながら逃げて逃げて、それでも、今と違って抗生物質があるわけでもないし、薬があるわけでもない。止血してその人の体力次第。化膿してもウジがわいてもアウトだし、結局2日後ぐらいには、熱とかで、亡くなっちゃって。
ご遺体は、とあるところに埋めたんだけど、俺はまあ聞いてはない。せめて、あいつと一緒に眠らせようっていうで、村まで戻った。大虐殺の後、血とか遺体とか、いっぱいある。
それでも、その親友の首だけがない。よく戦国時代とか、平安時代ってさ、記念というかトロフィーとか証拠で持ってくる。相手の首を。その体だけは、とりあえずその嫁さんと一緒に眠らせて、首を探しに、同じ着てた鎧とか、そいつを探し出して、ぶち殺しながら、もう仕方ないと思っとるよ。
それが犯罪だって言われたら、じゃあ、お前らやったことないやって。で、探し回っても結局見つからなかった。一人の鬼は首を切り落とされ、一人のには腕を切り落として。
でも歴史上で残ってる鬼の名前ってのはこの2人だけなんやて。人間の書物で残ってるよ。正式な名前。でも、実際そんな名前じゃないからね。実際違うから勝手につけたんじゃないの。
でも、その中にはもっと裏の立役者っていうかさ。歴史上の本当の真実を知る鬼がいるっていう。3人目のそういう鬼がいました。きっと、歴史とかさ、 古文書とか、そういうの好きな方、アニメになってたりもするしね。この話はね男が女が逆だったり、いろいろあるんだけど、多分ピンと来てる人は多いと思う。これは 知ってる人は。
でも、人間の歴史は全く違う。人間の歴史の方も読んだしね。俺。それにまつわる 首を落としたか腕を切り落としたっていわれてる刀も祀られてる。名前もついて。名刀だとかいって。
なんかの、理由で俺、そこ行って見て、何も感じなかった。そんだけのことをやってる刀ならそれなりの思念が残ってるはずなんやて。全くなかったからね お祓いとかそんなレベルの話じゃないから。俺、造ったもんだと思う。違うもんだと思っとる。
あれは。人間の栄光だって言いたいんじゃないの。それで、「やった。」って、「これで悪い鬼を切り落とした。あの殺した。」そう言っとるくせに、人間の他の書物では、「鬼は存在してません。鬼は病気の象徴です 見えない悪魔です。」って言っとんのに、なんでそんな切り落としたっていうような刀が実在するの。矛盾してない。
お前ら言ってること。首は見つからなかった。親友の嫁さんの腕を戦ってる最中に切り落としてる。一応回収しに行ってない。でも、なかった。動物とか食っとったら、それまでなんだけど、そう簡単に動物が見つける かって言われたら、ちょっと疑問なんやって。でかいし、普通の人のと違うし、全く見当たらなくて、でも血の後とかそう いうのいっぱいあったって。人間が持っとる可能性が高いって。で、それをどっかの下の方の兵士が「とったどー。」って、それしか考えられん。それが、堂々と人間の歴史書に残ってる。
だから反論や反感は買いません。売るつもりもないんだけど、俺は人間の作った歴史よりも、そうやって経験してきた人の歴史の方を信じる。じゃあ、その人嘘ついとったらどうなるのつったら、それは、魔眼で見てるから、そんなのは論外です。
本見て、嘘かどうかなんて難しいもん。本人見なきゃわかんない魔眼は。だから、俺が信じるのは、その鬼の人の考え方。ガチで戦ってるしね。
その鬼の方は、現代でも生きてる。妖の里でで。そのゴタゴタがあって、復讐もろくにできなくてさまよってる中、弾かれた存在。こういう言い方をするんだって。寄る辺なき存在。
要は、近寄ったり、近づいたり、仲良くなったりしてはいけないもの。それは汚れたものだからという人間の言い方があるんやて。寄る辺なき者。そういう弾かれた嫌われた者たち、イコール妖とか、ちょっと変わった方、その人たちが安心して暮らせる場所。
そういうのを作ろうっていう人がいた。それも人じゃないよ。今の現代の妖の里の主様。その方と〇〇さんが出会って、志を共にして、もうこんなことが起きないようにもっと団結しようって言っ て、できたのが妖の里なんやて。
そこで人間を信じろなんて無理な話ね。そういう悲劇をみんな味わった人たちが集まってるし、俺が行った時も、やばかったからね。色々と。命の危機とか試練とか。ある方を助けて、お礼を言いたいって行ったら、なぜか試練を与えられて。
精神的にも肉体的にもトラウマ的にも色々と。それでも心まで読まれて、過去まで読まれて、それで認めてくれた。妖側が。じゃあ何をするか。別に友達でよくねって思ってるだけで俺は。
でも、そこに関係する人間側もいる。よくの深い。そしたらお前、ちょっと調子こきすぎやろうって、人間側からグチグチグチグチ伝えて、やるなら買ったぞっていう感じで、妖怪側が、おーやったれやったれ。いいぞ締めちまえ。
まだ犯罪者は 一応まだ人間で戸籍もあるんで、妖は戸籍とかはない そんなもん日本政府が 認めたらちょっと怒るよ 税金払う税金払えず住民税払えて 何やそれ そんな 酒の席でしゃべられた鬼族の悲しい過去。
〇〇さんは、結末的に言うと 200年から250年ぐらい前に、人の子と結婚して、お子さんができて、そのお子さんが、今、200歳ぐらい。
妖の血が強くでる。旦那さんの方が妖で、奥さんが人間、これが今回の鬼族のパターンなんだけど、そうすると子供は普通にできる。だけど、人間側の負担が大きくて、ほぼ母体ごと死にやすい。
身ごもってもう数ヶ月なくなる。お腹の中に強すぎる子がいるから。もう、無事に生まれるのが2割あれば、いい方って言われてた。無事というか、無事に生きてれば2割。ほぼ無理だろう。
そんなにリスクがすごく高い奇跡の子。じゃあ、その逆はどうなのか。妖が女で、旦那の方が人間だったら、これは逆で子供がなかなかできない。でも、できちゃえばすごく丈夫な子になる。
それでもやっぱ、妖側に引きずられる。そのお嫁さんの方は、40から45歳ぐらいで亡くなってる。昔だったら平均かな。徳川家とかはいいもん食って、いいことやっとるから、80とかそんないっとるけどね。織田信長とかあそこら辺の時代では、人の 人生、50年っていうぐらいだから。
でも、お嫁さん、200年から250年前だから、江戸後期か。江戸後期ぐらいだから、ちょっと早いか。
馴れ初めを聞かせろつっても聞かせなかった。あまりにも問い詰めて、喋らんもんで、前の、元々の鬼族の親友の嫁さんを取り合っとって、負けとるじゃん 負けた理由を教えろよって言ってたら、「どうせ俺は負けたんだよ。」って言って 飲みだしてね。そしたら、今の現代の娘に後ろから、後頭部を「トト様飲みすぎ。」とか言って蹴られとった。
振られた理由としては、武力勝負とか腕力勝負や戦い勝負なら俺の知っとる方の鬼の方が強い。じゃあ負けた方を好きになるとか。
無理して負けるとか、わからない。これは結構、はかせようとしたけど無理やった。意外と優しいから引いたとかね。
こんな感じでちょっと 変わったお話ですけど、鬼の過去の話というか歴史の話というか、見た目とかさ どうのこうのじゃなくてそういう純粋な 気持ちをさ踏みにじるようなことは、本当にやめてほしい。
人間の傲慢さは汚いっていう話です。歴史に残らない鬼族の悲劇、で片付けられている。ほんの一部だよ。こんな話なんて、迫害とかさ人間同士でやったんだから。そりゃ戦争もなくならんわ。どっかの学者が言っとった。
平和とは戦争の前段階、前準備であるって。戦争するための準備が平和である。何だ、それって。違うやろうって平和とはみんな歩み寄るための時間じゃないの。模索して騙し合う時間じゃねえだろう。